しばし、お店の常連のお客さんも交えて雑談を。
松沢:ところでどうして大阪に帰ることになったの?
マグナム:顔面麻痺になったから。
松沢:ああ~っ、そっか! そうだ、そうだ!
マグナム:顔面麻痺になって手術して、あまり経過がよくなかったんで…。
松沢:あれ、なんだっけ? なんで?
マグナム:理由はわからない。ウィルスかと思ったら、「ストレスだ」って言われて。何のストレスかよくわからんでね。
松沢:お笑い芸人として上手くいかなかった時期があったということなのかな?
マグナム:いかなかったって言っても、ずっと呑気にやってたしね。
松沢:やってたけど、それでもね。
マグナム:要するにボディブローは効いてたのかもしれない。自分の中で色々ね。相方もいなくなって一人でやってるのも限界を感じてたし。水商売的にもしんどかったのもありますね。儲かってはいたけれど、ヘビーだった。水商売で売れるってことはヘビーじゃないですか、その後の色々のアフターとかなんか。その辺のしんどさとか何かあったのか知りませんけど、ピタッと顔が止まった。「こら、アカンな~」って。
松沢:あん時は働いてたんだっけ、店で?
マグナム:いや、働いてないっす。芸人やりながらね、色々と細かいことやってたんす。結局それでそうなってしまったので、「これはもうしょうがないなぁ」って。で、向こうでリハビリをやるには働かなきゃいけないし、無理だなあって思って。で、一回帰ろうかなぁって。まぁ、看護婦のネエちゃんに付いて居候しながらリハビリしても良かったんですけど、そうすると「こりゃ、確実に籍入れられるなぁ」と思ってw 「それも悲しいなぁ」って、「帰るか!」って帰った。
松沢:ふはっはっ!
マグナム:で、リハビリがてら…。あっ、でも加古川なんかにいると、田舎なもんで、東京から帰ってきたこんな変わったもん、面白がるじゃないですか? まぁ、知り合いの飲み屋で、知り合いじゃないねんけど、「ウチで働きませんか?」って言われたんで、ボーイじゃないねんけど。
松沢:ボーイじゃないってどんなの?
マグナム:ボーイなんですけど、何もしないで喋ってるだけ。したら、アフターで客として来たホステスが、これがさぁ、赤子の手を捻るようにハマるのよw
松沢:ハッハッ、加古川あたりじゃw
マグナム:加古川あたりじゃチョロくてw で、当時40くらいですよ。15くらい下のネエちゃんがもの凄くオレのこと好きだって。で、オレは顔とか全然興味なかったんだけど、ただただそのネエちゃんのお乳が物凄くデカかったの。カウンターとかに乗せてるわけ。で、「乗せてるやろ?」「うん、楽やねん」「何カップあるの?」「J」って言ったの。”J”って言った瞬間、頭のなかで「オ~レ~、オレオレオレ~♪」ですよ。これは見たいと思って。「これは見なきゃいけない!」と思っていきました。ところが街が小っちゃいとね、三人ぐらいおるとよく会うんですわ。あの、他の女とカレー食うてるとこ見られたりね。ただ、カレー食うてるだけなんすよ。
松沢:ただ、カレー食ってるだけじゃないだろうっていうね。
マグナム:そうそう。
松沢:”あと”のカレーなのか、”先”のカレーなのか。
マグナム:そうそう。こっちはノーガードなんで、ラブホのそばの長浜ラーメンかなんか食ってたら、「ラーメン屋で見かけたけど」って、声かけてこうへんのですよ。「声かけてくれたらええやん?」「いや~、あそこホテル近いから。女連れやったし」。「ああ~、住みにくいな、田舎って」。
松沢:ハハハッ。
マグナム:「こりゃあ、あかんで」っていうのが少しずつ強くなってきたんで、それで「神戸に行こか」って。
松沢:それで一回、東京に来たことがあったよね。まだちょっと現場が残っていた時に。それがオレが取材した二度目の現場。
マグナム:そうそうそう。
松沢:チョコボール向井(注76)に…。
マグナム:「チョコ、なんかない? 金になりそうなこと」って言うたら、「出てくれません?」って。「なんや、オレ、今さらどうすんねん?」って言うたら、「いやぁ、それでも出て下さいよ」って言うから。
松沢:なんか、”チョコボール向井がマグナム北斗から…。
マグナム:”覇権を奪う”、みたいな、しょうもない脚本を書いてきたのよw
松沢:そうだったw ”ここで伝説のマグナム北斗をオレは超えるんだ”みたいな話だった。
マグナム:伝説もなにも、こっちは金で来たからね。「金さえ貰うたらエエわ」ってとこやからw
松沢:そうそうそうww
マグナム:言うたらあれですよ。K-1のプロパガンダに使われた元ボクシングの世界チャンピオンみたいなね。
松沢:ああ~、そんな感じ!
マグナム:言うたらね。「だってアメリカで10回戦やって五千ドルやけど、五万ドルやったら行くでしょ?」いう感じね。
松沢:あの現場もちょっと情けなかった現場だったね。
マグナム:行ったはいいけど、全然ヤル気なかったw
松沢:一緒に表に出てさ、タバコ吸ってたじゃん、二人で。
マグナム:そうそう。
松沢:「これ、どうする~?」って。
マグナム:だからその、アイツの力みが、空回りが物凄いあってね。物凄い力んでたやんか? あの力んでる感じが凄く嫌で。
松沢:”マグナム北斗から技を伝授される”とかって、「やって下さい」って言って。その当時のアダルトビデオの技なんて知るわけねぇんだよ。
マグナム:解からないもん。
松沢:「どうすりゃいいの?」って話で、「これ、”まんぐり返し”っちゅうんか?」みたいな話でねw
マグナム:”まんぐり返し”は出来たけどね。
松沢:ああ、そうw
マグナム:「あの、シオ、噴かせられますか?」って、「そんな手の疲れること出来るか!」って言って。
松沢:ハハハハッ。
マグナム:「疲れちゃうじゃねえか。そんなことしなきゃならないの、今は?」
松沢:「出来ないんですか?」って。
マグナム:「出来ないんですか?」って、「勝手にチ○ポ挿れれば噴くじゃねぇか!」とかってw
松沢:ハハハハハッ。あん時も完全にアウェーだったね。オレも”マグナム北斗が来てる”っていうから取材に行ったんだけど…。
マグナム:取材好きじゃないからw
松沢:だから途中で「表に出ない?」ってww
マグナム:そのどう言うか…。”これからのエロビデオをどうこう”っていうのに熱心なスタッフに熱心な取材班。その空気に追いていけないオッサン二人ww あっ、梅木おったっけ?
松沢:あっ、梅木、いたいた。
マグナム:三人w 「ちゃうよな~?」
松沢:「このまま、うどんでも食いに行くか?」っていう話をしてww
マグナム:我々的に「あんな力んで撮るもんやったっけ、エロビデオを?」っていう感じなんですよね。カラミなんかでも。
松沢:力んで撮るのはいいんだけど、その時々の返しができないから、この撮り方しか出来ない、やれないよっていう。「こっからズレちゃうと困るんで、それはやめて下さい」って言うんだけど、セックス自体が面白くなくなっちゃう。
マグナム:オレたちは「ズレてもええやん」って思ってるから。ところがあの当時は女の子の契約が面倒臭くなってきてる時やから、「これはしないで下さい」っていうのが沢山あって、言われたことしかしたらアカンのよね。例えば、「あっ、このネエちゃん、これ悦んでる顔してるから、ここいった方が面白いかな」って一瞬思ったとしても、それ以上でけへんねん。
松沢:だから、”マグナム北斗VSチョコボール向井”っていう形にするわけですよ。
マグナム:彼はね。そうしたい。プロレス好きだから。
松沢:ハハハハハッ!
取材協力:マグナム北斗の店『与太ばなし』大阪市中央区千日前1-6-7日宝阪町ファイブ5F (06)4963-3645
(その参の四へ続く…)