元エロビデオ雑誌ビデオメイトDX』(コアマガジン 1988~2010)編集長。写真は産湯に使っている本人。

鷲本ひろし(アロマ企画) 編・その壱●あの人は今、のおいらが 同窓会の招待状を出しました(仮) 第一回・招待状送付人 鷲本ひろし(アロマ企画) 出席◯

今は簡単に見れちゃうじゃないですか。昔は買わないと見れない。大枚払って買うわけだから、それなりの覚悟を持って買うじゃないですか。

今は”誰も知らない”元エロビデオ雑誌編集長の松沢雅彦が、懐かしの面々を訪ね歩いて、勝手気ままに昔のエロ話に花を咲かせるという当コーナー。松沢の名前は知らなくとも、『ビデオメイトDX』(コアマガジン 1988~2010)という雑誌名を聞けば、思いあたる人も多いかもしれない。そこの名物編集長にしてエロ業界の生き字引的な人物、それが松沢であるが、そんな老境にさしかかった男が、昔とそして今のエロ業界に想いを馳せて繰り広げるヨタ話。そのほとんどは単なる初老の思い出話ですが、中には当時明かされることのなかった貴重な裏話や、現在や未来のエロ業界へ通じる金言が少しは入ってるかもしれない(入っていると信じたいっ!)。

その初回は、松沢のエロビデオ業界における盟友にして、互いの前立腺を刺激し合った仲である、インディーズビデオの老舗『アロマ企画』の重鎮・鷲本ひろし氏のもとを訪ねた。


 アロマ本社の応接室に通されると、松沢と鷲本氏は旧交を温めるのもそこそこに互いの近況を報告しだした。「最近、業界の人と話してても、どこも今元気ないし、何か企画を考えてもまず最初に今何が売れてるのって話が先行しちゃうし、フラストレーションがたまってるんですよね~」と鷲本氏。今はAV業界全体に頭打ち感が充満し、どこのメーカーも打開策に悩まされているようだ。同席した中嶋プロデューサーも「昔のインディーズは周りを巻き込んでいく感じがあったじゃないですか。でも今は配信だけでやっているようなところとぼくらとじゃやっぱりギャップがあって…」と二極化したインディーズビデオメーカーの現状を分析する。「だから業界全体で何かやろうとしてもなかなかうまくまとまらない…」と鷲本氏はため息をつく。そんなところから話は始まった…。


松沢:言ってみれば、インディーズという名前だけに乗っかって粗製濫造する人が増えたことによっていわゆるインディーズと言われたものが無くなってったってことでもありますからね。その後大きな流通というものに呑み込まれていって、そこを通さなければショップに置かないよっていうことがあって、それでインディーズがどうとかどうでも良くなってしまった。それで売れてるのはこれだよ、データ的にはこれを作らないといけないよってことになって、この女の子を使って、このシチュエーションで撮ったらいいと、内容にまで制約がかかる。で、マイノリティの人に届けたいと思っていたのが、そうじゃなくて最大公約数的なものしか作れなくなっちゃった。10年前くらいからそうなってきた。

中嶋:そう。でもね、結果的に裾野は広がったんでね。全てが寂しいことばかりでもなかったんだけど。

松沢:それで、その話に近いところから始めようと思ってて。で、ボクが『ビデオメイトDX』(注1)を始めて、インディーズにシフトチェンジした時、アロマ企画とか色々出てたと思うんですけど、『憎いほど男殺し』(注2)がなければ、これでやっていこうっていう感覚にはならなかったんですよ。それを見た時に、なんていうかなあ、これまでのアダルトビデオっていうのはなんか作品撮りのような感じがしてたってのがあって、インディーズっていうのはあるものをそのまま、ドキュメンタリーというかまぁ、技術がないからかも知れないけど、これが見たいっという勢いを感じたんですよね。失礼だけど女の人も魅力的とは言えない。でもそのテンポだったり、言葉や表情を見ていてやられて、あっこれは面白いなって思って。インディーズビデオと呼ばれているものを紹介していこうって思ったのはあの作品を見てなければ多分なかった。で、あれを作る動機っていうか、どういうつもりで作ったのか、もう一度話してもらいたいなって思って。

鷲本:ははっ、古い話を。あれって18番か19番?

中嶋:いや18番ですね。水城千春(三代目葵マリー)(注3) の。最初の二本のことですよねw

鷲本:もともとうちの社長が初代の葵マリーさんとどっかで接点があって、それで色々話をしてたら「新しい子が入ったんだけど、凄い子なんだけど、ビデオ撮らない」って話になって、それで一度行ってこいと言われて、初めて会った日に撮影になったんでしたかね。で、男優の帆足君に一緒に来てもらって何を撮るのかということも一切決めずにいったんですよ。そしたら唐突に三代目の方から「私はこういう感じでやるんでそれをただ撮ってくれればいいから。で、これとこれは絶対私はやらないから」って言われて。それがフェラ、そしていわゆるカラミ系ですよね。男に媚びるような行為は一切しないからって。「アンタがこのシーン見たいって言ってもアタシ一切やらないから」っていう勢いで言われて。で、わかりましたって。まあ日曜日の運動会のお父さんみたいにうろちょろしないでねっていうことですよねw 邪魔にならないように撮れっていうことだった記憶があります。

松沢:画面の左側に帆足君が後ろ手で縛られて、もう全裸で。で、三代目が近づいて触るか触らないか、いや触ってないw 言葉と見せつけるポーズだけでモザイク越しでもビン勃ちしている帆足くんがチンポを触って欲しくて堪らないと腰を突き出す。それを鷲本さんは右に動いて左に動いてw 右に動いて左に動いてだけだったような気がするんですけどw

鷲本:だから動くと怒られるw

松沢:画角が同じでw

鷲本:同ポジで平気でw というか技術もないし、なにもないw