元エロビデオ雑誌ビデオメイトDX』(コアマガジン 1988~2010)編集長。写真は産湯に使っている本人。

鷲本ひろし(アロマ企画) 編・その壱●あの人は今、のおいらが 同窓会の招待状を出しました(仮) 第一回・招待状送付人 鷲本ひろし(アロマ企画) 出席◯

今は簡単に見れちゃうじゃないですか。昔は買わないと見れない。大枚払って買うわけだから、それなりの覚悟を持って買うじゃないですか。


松沢:『口香教師』は睦月さんがディレクションしたんですか?

鷲本:そう。現場に来て、こういう感じで、ああいう感じでって。画角も睦月さんの好きな画角で撮ってる。

松沢:なるほど。今のところセックスのセの字もないじゃないですか。

鷲本:言われてみればw 

松沢:その無理にセックスしなくてもいいっていう考え方。いいって言うよりも撮りたくないって考えてたんですかね?

鷲本:とにかく嫌いだったのが、洋ピンの様な、スポーツのようなセックスっていうのが絶対に嫌いで。でもカラミが嫌いだったわけじゃなくて、泥臭いセックスする人がいるじゃないですか。ホントにあんた好きなのね~みたいな。そういうのは別に撮ってても興奮するんですけど…

松沢:生っぽいっていうことですか?

鷲本:そうです。家でもホントにこういうふうにやってるのね、家でもこういうふうに考えて、奥さんに「いいじゃねえか、いいじゃねえか」ってやってんのかなって。そういうのは別にセックスでもオマ○コでも全然いいんですけどね。

松沢:なるほどね。で、「おっぱいが見えない!」とか、そういうカメラマンさんいるじゃないですか、監督さんとか。

鷲本:当時、我々がやっていたのは異端でしたよね。「ハメしろ撮っとくか、画面つながらねぇし」とか、そういうのないみたいな。今はやってますけどね。

松沢:本番撮影のギャラが払えなかったからかもw

鷲本:あとね、今と大きく違うのは、ユーザーの声が簡単に入ってこなかったの。

松沢:なるほど。

鷲本:だから自分の考えを貫き通せるんですよ。たまに意見がくるのは手紙と電話しかなかったんで。そうすると労力いるじゃないですか、電話する方だって。電話賃もいるし。手紙なんていったらこんな分厚い封筒で送ってくるんですから。今みたいにレビューを書いたりとか、インターネットで色んな人が書いたりとかいうのがなかったんで、制作側からすれば自分の中のモノを貫き通せましたよね。

松沢:手紙を書いてくるのも自分が見たものの感想だったり、自分はこういうものが好きなんだというのを書いてくる人たちでしたから。逆にレビューなんかも、書評もそうですけど、ネット上にあると「こういうのがいいのかな?」とか思っちゃいますもんね。

鷲本:今は簡単に見れちゃうじゃないですか。昔は買わないと見れない。大枚払って買うわけだから、それなりの覚悟を持って買うじゃないですか。だから外れたときは糞ミソに書くし、良かったときは天国に昇っちゃうんじゃないかなってくらいに持ち上げてきたりとかw それが簡単に見れて、好きでもないのにレビュー書く人っているじゃないですか? ああいうのが簡単にこっちにポンポンポンポン耳に入ってきちゃうと、なんかヒヨってきちゃうっていうか。

中嶋:今なんか、批判ばっかりですよね。

松沢:例えばビデオメイトでやっていたレビューで考えると、五千円とか八千円とか一万円とか、一つまんまの作品のコスパとして考えたら、これ最高です、なんて書けないからw 少しでもいいからちょっと変なシーンとか、普通だったらスルーしちゃうところを撮ってるな、腋の下でもいいんですけど、ここをずっと撮ってるよねっていう、そういうところを探して、そこをいいと思ったら書いて欲しいっていうようにはしてたんです。ほかのAVではそのシーンは絶対ない。でも本当に見たいのは腋の下の剃り残しなんだw そんなユーザーがいたんですね。そうすると、そのレビュアーと自分の感性が近いものを持ってるなぁと読者が思うと、あっ、この人がいいって言ってるんだから、買ってみようかな、見てみようかなっていうふうになってたりとかはしてたんで。なんか作品全部を語っちゃうと、見る方のイメージがなくなっちゃうのかもしれない。だからネットでどんどん拡散してくと、これはダメだとか、いらないシーンばかり撮ってとか、マニア的な視点ではなく一般の人の考えるアダルトビデオみたいなものがネットに掲載されるわけで。「この女優の腋汗最高でした」の一言に過剰に反応して買ってしまう、そんな声が届かないというのが、今の情報が溢れてる時代の弊害かもしれませんね。

(鷲本ひろし編・第二回へ続く…)