松沢:その頃、”マグナム北斗”として出ていけるという気持ちはあったの?
マグナム:全然。だってこんなもんでゴハンが食べられると思わなかったですもん。それまで知らんかったですもん。”男優”なんていう生業がね、この世にあるなんて。
松沢:当時、ざっくりでいいんだけど、本名でやってる時と、”マグナム北斗”という冠をつけた後とでギャラって上がった?
マグナム:個々のギャラは変わりませんわ。徐々に上がっていった。
松沢:あっ、変わらないんだ、マグナム北斗といえども。
マグナム:だから、ギャラが上がっていった時でしたからね、そもそも。
松沢:どれくらいだったの?
マグナム:初めて出た時、手取り二万円でしたわ。
松沢:ああ~っ、そうなの!?
マグナム:最初は。ところが二万が三万になり、五万まではいきました。それもメーカーによりますよね。二日で5~6万のとこもあれば、一日で5万円のところもあるし。「安いから行きません」っていうのもあんまりしなかったんで。でも、ちょっとせなあかんなぁって思うようになって、あんまり安いところは「いやや」って、「あっち行きます」とか言うようになりましたよね。二年目三年目くらいから。
松沢:それはまあ、20人から30人に男優が増えていったとしても、キャラクターとして”マグナム北斗”というAV男優は一人しかいないっていうことだから。
マグナム:そうですね、外から見ればね。
松沢:制作側は名前が売れているからって特別待遇はしなかったってことかな?
マグナム:そうですね。だから雑誌とか、名前がけったいやったせいで色んなメディアとかも出して貰って。業界内的には日比やんはしっかりと仕事もするし、男優的にはモノも小っちゃいですけど、芝居も臭いですけど、速水健二は熱心ですしね。麻郎君なんかおだてりゃ、やらんでいいことまでするし、使いやすかったと思いますよ。オレは言うたら努力しなかったですからね。今の子なんか凄いなぁって思うもん。カラダ鍛えたり、なんかしますやんか。オレらなんて素材のみですよ。調教すらつけてないもんね。なんにもしてませんよ。こんな呑気な仕事あっていいんか思うたもん。
松沢:オレが聞いた話では、平地は現場に来た時に声がうるさくて、「黙っとけ、オマエ!!」って言われて、そんで「すんません」ってしばらく黙ってて、小っちゃい声で喋ってて、それを聞いてるメイクさんが大笑いしちゃってw
マグナム:フハハハッ!
松沢:東良さん(注28)が言ってたんだけど、「平地はね、控室でやってることを本編の方でもやって貰いたいんだけど、アイツさあ、本編になるとダメなんだよ」w
マグナム:カ~ハッハッハッ!
松沢:「面白くねぇんだよ」w
マグナム:その通りw 興味働かなくなるから。あのね、たま~に上手くいく時があるの。それはほったらかしでやらしてくれた時。
松沢:台本とかあっちゃダメなんだな。台本とね、ゴムはNGw
マグナム:そそそっw
松沢:”ゴムアレルギー”なのw
マグナム:へっへっへっへ。いや、あれもね、するのジャマ臭いから「アレルギーやねん」って言うてたらメディアに書かれてもうてね、誰か知らんけど。”ゴムアレルギー”なんてないやろってw
松沢:っちゅうか、今まで全部それだったの? プライベートはっていう話だね。
マグナム:当時はね、”オール生”でしたね。凄かったですね、全部”ナマ”で。それでよく現場で元気でやってきたよな。