ひとしきり、風俗の話で盛り上がった二人。話はまた、インディーズビデオ創生期に戻りますー。
松沢:さて、マイノリティに対する数々のヒット作を出して、インディーズというくくりから、だんだんとセルビデオという形になっていく頃、その辺でエポックでいうと何になるんですかね? ソフト・オン・デマンドとの絡みですかね?
鷲本:デマンドはあまり良いこと覚えてないから。
松沢:まあ、そうなんですけどw 2000年くらいですかね、そう言えば。
鷲本:うちの多分五年くらいあとです。
松沢:2000年くらいにあの牧原れい子の…
鷲本:ああ、ONレーベル?(注35)
松沢:ONレーベル。その辺で二本でしたっけ、撮って。それでアロマ企画的なカメラワークを全否定されてw っていうのがありましたよね。
鷲本:そうですね、松本さんに。
松沢:あれ、松本和彦(注36)だったの?
鷲本:松本さんに聞いたんです。「オレね、鷲ちゃんね、『鷲本さんと一緒に出たくない』ってがなりさんに直訴したんだよね。『一緒にするな』って直訴したんだよ」ってw
松沢:同じONレーベルで出すなとw。
鷲本:要するにぼくたちと同じ土俵に上がることが耐えられないということで「直訴したんだよね」って。で、一作目のやつが上がってきたのを見て、「ごめんね」って電話くれたんですよ。その辺が松本さんらしいじゃないですか。「あんなこと言ってごめんな」って。
松沢:ただ、一発目のやつはみんなアロマ企画のスタッフだったじゃないですか、制作は。
鷲本:いやカメラマンさんが、ベーカムで撮らなきゃいけないんで、ベーカムなんて触ったことなかったんで…
松沢:その時、カメラマンって誰だったの?
鷲本:松浦さんだったと思う。うちの技術さんがいた制作会社の方で。で、ぼくが言うのを撮ってくれた。モニター見ながら「もうちょっとああです、こうです」って、一日目。で二日目が自分で。その二日撮り。
松沢:あれはそうだ、ひろ~い病院の跡かなんかでやったんでしたよね。
鷲本:そうです。それが第一のカメラが…
松沢:そうか、それであっちこっちの病室を使わなきゃならないから、スタッフがいっぱいいて。カメラマンと折り合いつかなかったのは『床屋の女』(注37)だ。
鷲本:『床屋の女』はオール・アロマです。あっ違うわ。『床屋の女』は全部カメラマンが同じ。時空がどうのこうのって言われて、よく解からないでイライラしてたのは覚えてます。
松沢:「”返し”撮らないとおかしいだろう!」っていうやつですよね。
鷲本:どうでもいいんですけどね、そんなの。
松沢:「男優の顔、撮らなくていいんで、そのまま動いて貰えば。見ている人の目線なんですけど」って言っても、「繋がらねぇんだよ!」って。多分、俺、そのやり取り現場で聞いてたんです。で、しばらくしたら、鷲本さんがおもてに出て、通りの方を見て…
鷲本:しょぼんと一人で座ってたw
松沢:わっはっは。
鷲本:で、気づいてみたら終わってた、時間切れで。撮りたいものも撮れず。
松沢:「二度と撮りたくない、デマンドでは」って言ってましたよね。それでそのあと、洗体モノに行くじゃないですか。
鷲本:よく覚えてますね。『マッサージで感じちゃったボク』ですね。
松沢:それでスタジオへ現場取材に行ったら、鷲本さんがこうディレクションをしてるわけですよね。で、女の子が「陰嚢も触っちゃうの?」「はいはいはい」かなんか言って。で、水着みたいなのがあって、白い水着かなんかで、ローションかなんかでちょっと濡れてるやつを、「鼻先ちょっと乳首が当たるくらいのとこ」っていうディレクションしてて。「いや、変に当たりすぎてるかなぁ?」っていうのを延々30分くらいやってたw そのくらいどーでもいいんじゃないのってイライラした気がするw
鷲本:あれ、女優さんだったんだよなぁ。早乙女さんか誰か。それまでは本当にマッサージの経験者か、資格のある人。その時、女優さんだったんで、それで説明してて。実際にお客さん相手にやってる人とは雰囲気が違うんで、相当時間をかけてた覚えがあります。
松沢:女の子も相当悩んでましたもんね。
鷲本:「普通にやっちゃいけないのかしら?」w 「あーっ、乳首見えちゃった! やり直し!」w 「見えちゃいけねえのかよっ!」って思ってたでしょうねw
松沢:洗体って沖縄でしたっけ?(注38) 誰かに聞いて沖縄に行ったんでしたっけ?
鷲本:そうです。こっちの情報で沖縄の洗体が凄い面白いよっていう。それもあれですよ。書き込みの、マッサージ好きな人が集まる。そんなに面白いのかってそれで実際に体験しに行きましたね。
松沢:あれって衆目の中でやってるの、沖縄?
鷲本:沖縄は個室のところとカーテン仕切りの、銭湯の中で簡易的に仕切ってるアカスリタイプでやってるところとお店によって色々ありました。
松沢:新宿なんてね、その辺でやってるもんね。今は無くなったのか、西武新宿線の駅前のグリーンプラザ。あそこのサウナのところで、真ん中にベッドがあって、みんな白いただのデカパンを履いたオッチャンで、女の人はパンマ服(注39)なんだけど、見える場所で鼠蹊部あたりをボロボロやってるんですよ。泡だらけにして。おれ、風呂に入って見ながらよく勃たねぇなってw
鷲本:いや、みんな勃ってるんじゃないですか。
松沢:勃ってない、勃ってない。そのベッドが三つぐらいあって、風呂入ってると見えるんです、普通に。凄いなこの人たち、剛の者だw あんなマネは出来ないっ!w
鷲本:シチュエーションで勃っちゃいますよね、普通は。
松沢:誰がいてもねw
鷲本:自分の世界に入っちゃうw