松沢:その時の現場にいたのが、のり太くんのあとに入ってきた角脇くん、それに…
鷲本:さとしくん。
松沢:さとしマニア。
鷲本:あと笠井くん(注40)。
松沢:ああ、笠井くんがいて、それから…
鷲本:もうほとんどいなくなっちゃいました。夢野も笠井くんも卒業しちゃったし。
松沢:卒業っ!
鷲本:ええ、フリーの監督に。
松沢:フリーでアロマで撮ったりしてる?
鷲本:アロマでもお願いしますし、よそのメーカーさんでもバリバリ活躍してますし。
松沢:あっそうですか。へぇ~。
鷲本:笠井くんなんか売れっ子なんじゃないですか。
中嶋:頑張ってますよ。
松沢:へぇ~、どの辺で撮ってんだろう。
鷲本:CA(注41)さんで撮ってますよ。あとグローリー(注42)とか。
中嶋:彼の監督名って笠井貴人でしたっけ。
松沢:それじゃあ、向こうのスタッフさんを使って?
鷲本:そうじゃないですかね。仲のいい技術さんとかとやってる感じじゃないですかね。
松沢:しげちゃんは?
鷲本:しげおはまだウチの今、制作のチーフです。
松沢:彼は今どんなのを撮ってるんですかね?
鷲本:しげおは今、一番多いのは『オイル手コキ』ですね。やっぱり今、こういう状況なんで、なるべく売り上げに結び付くような過去のヒット作の路線で、シリーズもので撮ってっていう感じで。
松沢:なるほどね。しり系(注43)はやらないんですか?
鷲本:しり系は、四つん這い系はしげおが撮ってると思います。でもなんだかんだ言ってもパンチラなんですよね、今。ウチの旬が。
松沢:ウチの旬!?
鷲本:はい。アロマというのが母乳じゃなくて、パンチラに変わってる。今の世代の方々には受け入れられてるんで。
松沢:ああっ、なるほどね。
鷲本:今はほとんどパンチラに絡めた作品がウチのメインになってます。
杉乃:今は月に何本くらいリリースされてるんですか?
鷲本:月10本ですね。
松沢:大変だね。
鷲本:大変です。凄い大変です。
松沢:そうか、パンチラか、ほぼ。
鷲本:そうですね。パンチラ以外ではもう数字が全然追いついてこないんで。
杉乃:今、ユーザーさんって年齢層的にはどのくらいですか?
鷲本:高いですね。40代から50代以上が一番多いんじゃないでしょうか。
杉乃:パンチラはやっぱりその辺のユーザーさんに支持されてなんでしょうか?
鷲本:若い方はもう、多分エグいやつは見慣れてないし…発信もしてこないですね。
松沢:多分、他のメーカーもそのぐらいの年齢だと思うんですけど、その中でもアロマを見ている人は、ハードセックスでなくてもいい人かもしれないですよね。
鷲本:かえって普通のセルビデオで見慣れちゃってるから、逆に布一枚あった方がエロいんじゃないですか。
松沢:今の一般的なアダルトビデオの撮影方法というのはどんなですか? おれが辞めた頃みたいにまだ「ハメしろナントカ」ってやってるんですか?
鷲本:ウチに関して言うと、一日一本撮りましょうか~っていう現場はほとんどないです。というのは全部がオムニバス形式みたいなやつをパズルみたいに組み合わせてやってるっていうような状況でして…。細かいシチュエーションを撮り貯めていくっていう。
松沢:そういうやり方で、他とはちょっと違う感覚で見せてるわけですか?
鷲本:他のみなさんのところもそういうところが結構多いと思うですけども、その中でも出来るだけ核心のあるところはブレずに。同じパンチラの中でも色々あるじゃないですか、この膨らみのところだけ撮りたいっていうのがあれば、その路線からあまりブレずにちゃんと撮り貯めていって。そんな感じではやっていますけど。
松沢:なるほどね。今までは一人の女の子で手を変え、品を変えやってたものを、じっくり撮りたいやつは撮るけども、それを何人もいて、オムニバスで一本に入ってる…
鷲本:そのじっくりがちょっと無くなってきてる。ひな壇式なんで、じっくり撮って押しちゃうと次に控えてる監督に迷惑かけちゃう。時間内で撮れるやつを撮ろう、精査して。例えば一時間から二時間しか自分の担当の時間がなかったら、その時でじっくり撮っちゃうと本当に時間なくなっちゃうんで、計算してその日に撮れるやつを、例えばパンチラだったらその中から本当にギュッと絞ったやつを撮るというやり方ですよね。色んな時間の使い方を考えなければいけないという。
松沢:パンツの前をギュッとw 表現方法の変化ってあります? え~、今の審査団体はなんて言うんでしたっけ?
鷲本:あ、今? IPPA(注44)ですね。昔で言う全倫が今は全部支配してる。
松沢:ここからまた色々…
鷲本:この中にまた審査センターがあるんですけど、そこのNG事項には引っかからないようにとか、あとは表現の方法で「こういう表現はやめてください」とか。
松沢:表現的なものとは?
鷲本:例えばバイオレンス的なものとか、未成年を連想させるもの。まあ、それは変わらないです。あと最近だと野外が…、そういうのを刺激しないような。抜けの画ですね。向こうからこれを見られたんじゃないかと思われるようなシチュエーションは撮らないというような。どちらかというと規制に引っ掛かるようなものを撮らないようにという方向から考えてる。